観葉植物が成長、枝葉が伸びて日当たりや風通しが悪くなったり、シルエットが崩れたりします。正しい方法で剪定を行うことで、植物を健康かつ美しく保つことができます。初心者でも失敗なく簡単にできる、剪定のコツについて紹介します。
観葉植物はいつ剪定する?
剪定は、植物にとって大切な作業です。観葉植物を長く育てていると、枝や葉が成長し、購入当初の本来の姿から変わってしまいます。
また、比較的成長の早い植物は、葉が生い茂ることで風通しが悪くなり、病気や害虫が発生しやすい環境を作ってしまう場合もあるのです。
さらに、枝や葉の数が増えれば、それだけ植物にとって必要な栄養量も増えてしまうので、植物を健康に育てるためにも好ましくありません。
観葉植物をきれいな形に整えて観賞を楽しむとともに、植物を長生きさせるためにも、正しい剪定を行いましょう。剪定するのにおすすめのタイミングを、植物の状態と季節や天気などの面から紹介します。
剪定のタイミング
剪定のタイミングの1つとしては、『咲いた花がしおれてきた頃』です。花は咲き終わった後も植物のエネルギーを消費してしまいます。花首か、枝元から花を切り落とせば植物全体の栄養状態はもちろん、見た目もよくなります。
枝や葉が余分に育ってきたら、植物全体のシルエットを崩している部分を剪定するようにしましょう。
ほかにも、植物の『休眠期が終わる前』に剪定するのもよいタイミングです。植物は休眠期に成長を留め、花や葉を落として枝だけの状態になります。
植物の種類によって異なりますが、大抵休眠期は冬です。休眠期が終われば、植物は成長を再開し、枝葉を伸ばし始めるのです。
休眠期前の剪定を行う目的は、『弱った植物の再生』です。古くなったり弱ったりしている枝を一定の長さで切り落としましょう。
成長が盛んな季節に行う
剪定の季節としては、植物の成長が活発になる5~7月頃が適しています。北海道であれば、もう少し暖かくなる6~7月頃がおすすめです。
晴れの日がおすすめ
剪定をするのは、晴れて乾燥している日の午前中がおすすめです。湿気の多い日を選ぶと、切り口から病気やカビが侵入しやすくなるため、避けるのが無難でしょう。
さらに、切り口を清潔に保つためには、事前に剪定に使うハサミをアルコール消毒しておくなど処置しておくことをおすすめです。
基本の剪定方法

剪定と聞くと、専門的な技術を連想して難しいような印象を受けますが、正しい道具とやり方さえ覚えれば、初心者でも上手に行うことができます。
必要な道具から剪定するポイントなど、おさえておきたいことを以下にまとめました。
剪定用のハサミを用意する
剪定を行う時には、専用のハサミを用意しましょう。家庭によくある文房具のハサミで代用すると、植物を傷つけてしまいます。
ハサミはそれぞれ切るものを想定して造られており、紙とは全く異なる、植物の枝葉を文房具ハサミで剪定すると、きれいに切り落とすことができず、植物の細胞を壊してしまいます。切り口が傷になることが原因で、枯れてしまうことすらあるのです。
剪定ハサミは、植物を剪定することを前提にして造られており、細胞を傷つけずに切断できるようになっています。切り口から病原菌が侵入する可能性も低くなるため、安心して使用可能です。
剪定用ハサミは、使う目的や対象となる植物の種類によってさまざまですが、観葉植物を剪定するのであれば、手が届く範囲の背丈の植物が大半でしょう。手のひらサイズの大きさで、使いやすいハサミを選ぶようにします。
成長点を探す
剪定するといっても、やみくもにハサミを入れてはいけません。植物には『成長点』という、細胞の分裂が活発に行われている場所があります。観葉植物の幹を注意深く観察して、小さくぼこっと出っ張っているところを見つけましょう。
剪定する際には、この成長点を切り落としてしまわないように、少し上の部分を切り落とします。成長点はいくつかあるため、植物のシルエット全体を見ながら、バランスを取って剪定しましょう。
伸びすぎた部分を切る
観葉植物を剪定する際には、枝分かれしていたり伸びすぎて全体のバランスを崩したりしている部分の枝を選んで切り落としましょう。
植物の種類によって、どのくらい切ればよいのかは変わってくるので、一度剪定をする観葉植物について調べてからにするのが無難です。
枝の切り方

枝を切るときは、まずは道具を清潔にしておくことが必要です。また、枝の種類によって注意するべき点も変わってきます。以下にまとめたポイントをしっかりおさえて、正しく剪定しましょう。
まずハサミやナイフの消毒を
剪定後の切り口は、菌やカビが侵入しやすい状態となります。不潔なハサミやナイフを使用することは、病原菌の侵入を手助けすることになるのです。
剪定に使用するハサミやナイフは、アルコール消毒や火で消毒するなどして事前に処置をしておきましょう。
切り口や道具に触れることになる、自分の手も消毒が必要です。綺麗に手を洗って清潔にし、さらに気になる人は手袋をするとより理想的と言えます。肌が弱くて手が荒れやすい人や、ケガが心配な人も手袋の装着をおすすめします。
細い枝の場合
ハサミやナイフの使い方にもコツがあります。基本的には、ハサミの刃の先を使うように切りましょう。細い枝の剪定の際には、さほど力を入れなくても難なく切ることができます。
室内で育てる観葉植物の枝程度であれば、問題ないでしょう。
太い枝の場合
太い枝を剪定する場合は、ハサミの根元まで枝を持っていって切るようにします。
もし1度で切り切れないほど太い場合は、何度か回数を重ねて切りましょう。まずは切りたい枝の1/3あたりまで、下から切れ込みを入れます。
次に反対側、枝先寄りに切れ込みを入れます。最初に切れ込みを入れた場所からは少しだけはなしてハサミを入れましょう。
2カ所に切れ込みが入ったら、そのまま枝を切ります。最後に付け根から枝を切り、形を整えて完成です。
剪定後に行うこと

剪定をした後のケアも重要です。植物にとっては傷口ができているわけですから、なるべく早く傷口がふさがるように処置をしてあげましょう。
剪定直後のケアから、その後のお世話までおさえておきたいポイントを紹介します。
ほどよく日光が入る場所に置く
剪定後は、ほどよく日光が当たる場所に置いてあげるとよいでしょう。剪定後の弱った植物に光合成を促して成長させます。
とはいえ、強すぎる日差しを直接あてると、葉が日焼けを起こして弱ってしまいます。室内では遮光カーテン越しの窓辺に置くなど、適度な日差しになるように工夫しましょう。
あまり日光を好まない観葉植物の場合は、逆に弱ってしまう可能性もありますから、植物の種類によって環境を整えましょう。
癒合剤を塗っておくとベター
剪定後の傷口には、癒合剤を塗っておくことをおすすめします。傷口をふさぐことで、外部からの刺激からも保護され、治りが早くなります。
さらに、病原菌が侵入することを防ぐため、剪定後に病気に感染する可能性がぐっと低くなります。
適切な水やりで成長を促そう
剪定後は、適切な水やりを行って植物の新芽の成長を促す必要があります。
観葉植物の中には乾燥している状態が好ましい品種もあるため、過剰な水のやりすぎは避けましょう。土の表面が乾燥しはじめたら水を与えることを目安にするとよいでしょう。
水やりをする際に注意するべきなのは、根腐れです。日中、とくに真夏の暑い時間に水やりを行うと、土の中の温度が上がり、根が傷んでしまいます。日が落ちたころに水やりをするなどの工夫が必要です。
観葉植物は室内で育てるため、多くの場合受け皿を敷いているでしょう。水が常に溜まった状態では、湿気がこもって根腐れしやすくなります。受け皿の水はこまめに捨てることを心がけましょう。
剪定後は水やりと合わせて、肥料も与えると新芽の成長によい影響を与えます。肥料も、やりすぎには注意しましょう。
品種によっては切った枝も成長する

剪定で間引いた枝は、その後挿し木や取り木と呼ばれる方法で育てることが可能です。剪定した本体の観葉植物とは別に、プチ観葉植物として楽しめるため、気軽にチャレンジしてみてはいかがでしょうか?
挿し木と取り木、それぞれの手順を紹介します。
挿し木で育てる
挿し木をする場合は、まず本体の観葉植物を剪定しましょう。余分に伸びて生い茂ってしまった部分の中でも、新しい茎を選びましょう。挿し木に使う枝は『挿し穂』と呼ばれます。
品種にもよりますが、挿し穂は先端に3枚ほど葉を残し、ほかは切り取ります。枝が長すぎる場合は、15~20cm程度に調節し、小分け用の鉢に収まるようにしましょう。
その後、挿し穂を1~2時間ほど水に浸けたら、植木鉢に植え替えて完成です。水を与え、風通しがよく明るい場所に置いてやると、種類によっては約1カ月で根を張るでしょう。
パキラやガジュマル、ポトスなど、人気のある観葉植物にも挿し木に向いている品種が多いので、チェックしてみましょう。
取り木で育てる
取り木とは、観葉植物の幹に小さな傷をつけたり皮を剥がしたりすることで、幹の途中から根を生やし、その部分を利用して繁殖させる方法です。
まず、幹に2カ所、3cmほど間隔をあけて切れ込みを入れます。決して切り離したり折れたりしないように注意しながら、枝に沿って切れ込みを一周させましょう。
その後、切れ込みに沿って幹の表皮を剥がし、枝の中の木質部を露出させます。
最後に、湿らせた水苔をひとつかみ取って、木質部を覆い隠し、乾燥しないようにビニールで包んで縛り、完成です。定期的に、水苔が乾燥しないように水をやって管理しましょう。
早いもので数週間、遅ければ数か月で根が張ります。水苔で保護したところの下部分で幹を切断し、取り木に使用する部分を確保しましょう。
取り木に向いているのは、ゴムの木やシェフレラなどです。
パキラの剪定

観葉植物として人気が高いパキラは、成長が早く剪定が必要です。生命力が強く、たとえ切りすぎても成長してくれやすい植物なので、剪定するのが初めてという初心者の人にも、安心して育てられます。
パキラの特徴と、剪定するタイミングについてまとめました。
パキラはどこで切っても芽が出てくる
パキラの枝葉は、成長するとどんどん伸びて、シルエットが崩れます。パキラは、剪定した場所のすぐ下から新芽を発芽するので、最終的にどれくらいのサイズ感にしたいかを決めてから、ハサミを入れる場所を決めましょう。
パキラにも、前述した成長点がもちろんあるため、剪定するときには成長点の少し上の部分を切り落とすとよいのですが、あまりに枝葉が生い茂ってしまった場合は、成長点を無視して思い切って剪定しても大丈夫です。
少し成長が遅くなりますが、シルエットを整えるには手っ取り早い剪定ができます。
場合によっては冬に剪定してもOK
観葉植物の剪定は、5~7月の時期が適しています。成長期の剪定であれば、新芽が発芽するのも早いため、パキラを健康に育てるためにもおすすめです。
少し伸びすぎた枝を整える程度の、ちょっとした剪定であれば1年通して行えます。とくに卓上サイズやハイドロカルチャーのパキラであれば、剪定はいつ行っても問題ありません。室内であれば、真冬でも剪定に耐えられます。
ガジュマルの剪定

ガジュマルは、非常に丈夫で生命力の強い観葉植物です。なんと、生えている枝葉をすべて剪定して、丸坊主にしても、またぐんぐんと枝を伸ばし、青々とした葉を茂らせてくれるのです。
ガジュマルは成長スピードが速い為、理想のシルエットよりも気持ち一回り小さく剪定することで、ちょうどよい大きさになります。
丸坊主にしてもしっかり成長する
長く日陰に置かれて育てられたりしたガジュマルは、本来の力強さを失った、細く弱々しい枝をつけることがあります。
メインの丸く太い幹以外、1度すべての枝を切り落として丸坊主にすることで、ガジュマルがリフレッシュし、元の元気な姿を取り戻してくれるのです。
ガジュマルを剪定する時期は、4~7月が好ましいでしょう。いくら丈夫なガジュマルといえども、剪定は植物にとってダメージです。とくに丸坊主にするときなどは、剪定時期は慎重に選ぶようにしましょう。
剪定後はいつもより乾燥気味に
剪定後のガジュマルは、ほかの観葉植物とは異なり、普段よりも乾燥した環境に置くとよいでしょう。1週間程度は、日光に直接あてないことも重要です。
剪定後のガジュマルにとっては、普段は平気な直射日光は刺激が強すぎます。さらに、剪定によって枝葉が減れば、水分を蒸発させる力も弱まるため、根腐れが起きやすくなるのです。
土が完全に乾燥するのを待ってから、水やりを行う程度の間隔で充分です。
ゴムの木の剪定

ゴムの木は、葉の形や模様もさまざまなことから観賞用として人気のある植物です。丸く大きな葉をつけるため、剪定して日当たりと風通しをよくする必要があります。
また、ゴムの木はその名の通り、樹液がゴムの原材料となることで有名です。剪定の際は、切り口から出る樹液に注意する必要があります。
ゴムの木を剪定するときに抑えておきたいポイントについて、以下にまとめました。
切り口のラテックスに注意
ゴムの木を剪定すると、傷口から白い樹液が分泌されます。ゴムの原材料であり、ラテックスと呼ばれるこの成分は、直接触れるとかぶれを引き起こす可能性があります。軍手や手袋を着用し、樹液が肌につかないように注意を払いましょう。
手だけではなく、長袖の衣服を身に着けるのがおすすめです。ゴムの木の樹液は流動性が高く、切り口から次々と流れ出てきます。垂れてきた樹液からも手足をガードしましょう。
ゴムの木の剪定のタイミングは、葉や枝が密集したり、葉先が枯れて病気にかかっている部分が出てきたりしたときです。他の観葉植物と同様、成長期の春先から6月にかけて剪定すると良いでしょう。
付着してしまったときの落とし方
樹液が肌に付着したら、すぐに水で洗い流すようにしましょう。かぶれが生じ、なかなか収まらない時には、自己判断せずに医師に相談することをおすすめします。
衣服やカーペット、タイルなどに付着してしまうと、なかなか落とすことができず、シミになってしまいます。
室内で剪定するときには、エプロンを着用し、床には新聞紙などを敷いておきましょう。タイルに垂れてしまった場合は、時間がたつと固まり、なかなか取れなくなります。石油などの揮発性のある油で溶かして除去しましょう。
まとめ
観葉植物は、家の中やオフィスなど、室内で気軽に緑を楽しめるアイテムです。だからこそ、長く観賞して楽しむためには、正しい世話をして健康を保ってあげることが必要です。
剪定を行うことで、観葉植物の見た目はもちろんのこと、病気や害虫にかかりにくい環境を整えることが可能です。
コツさえ押さえれば、観葉植物の剪定は初心者でも簡単にできます。正しい選定方法を覚え、お気に入りの植物を大切に育てましょう!


